赤ちゃんの体温の測り方:方法別の正確性と受診目安
赤ちゃんの発熱を正しく判断するためには、まず「正確に測る」ことが何より大切です。 体温計にはいくつか種類があり、年齢によって適した方法も異なります。 測り方が間違っていると不要に心配したり、逆に受診が遅れたりすることもあります。 このページでは、体温計の特徴・年齢別のおすすめ・受診の目安までまとめて解説します。
体温計の種類
デジタル体温計
もっとも一般的で、価格も手頃なタイプです。測定完了時に電子音が鳴り、 肛門・口腔・腋窩(わき)など複数の部位で使えます。
メリット:測定が速い(約30〜60秒)、見やすい、用途が広い。
注意点:挿入位置が浅い・ずれると誤差が出やすい。
額式(こめかみ)体温計
赤外線で額〜こめかみを測る非接触/接触タイプ。短時間(1〜3秒)で測れます。
メリット:赤ちゃんを起こしにくい、痛みがない、すぐ測れる。
注意点:汗・室温・測る位置の影響を受けやすく、個体差が出やすい。
耳式体温計(鼓膜式)
耳の奥の鼓膜温を赤外線で測るタイプです。短時間で測定できますが、 プローブの角度や挿入の深さが結果に影響します。
メリット:速い(約2〜3秒)、比較的負担が少ない。
注意点:新生児では誤差が出やすい。耳垢や耳道の形でも誤差が増える。
おしゃぶり体温計
おしゃぶりのようにくわえて測るタイプで、赤ちゃんには使いやすい設計です。
メリット:抵抗が少なく使いやすい。
注意点:直腸温に比べると精度は低めで、測定時間も長め。
使用を避けたい体温計
水銀体温計:破損時の水銀曝露リスクがあるため推奨されません。
ガラス製アルコール体温計:割れやすく読み取り誤差が大きいです。
月齢別のおすすめ測定方法
新生児(生後0〜3か月)
最も正確:デジタル体温計による肛門測定。
新生児は肛門温が最も信頼できます。先端を約1.25cm(約1/2インチ)目安で やさしく挿入し、測定完了音まで固定します。
わき測定は補助的には使えますが、精度は下がります。 額式・耳式はこの時期は誤差が大きくなりやすいため慎重に扱ってください。
乳児(生後3〜12か月)
推奨:肛門またはわき(デジタル体温計)。
依然として肛門温が基準です。わき測定の実用性は上がりますが、 発熱判断は「普段の平熱との差」も含めて見ましょう。耳式を使う場合は角度に注意します。
1歳以降
使いやすい方法:わき・耳・額(協力できれば口腔も可)。
成長に伴い選択肢は増えます。日常では額式・耳式の利便性が高い一方、 判断に迷う数値のときは同じ方法で再測定するのがポイントです。
方法別:具体的な測り方
肛門測定(最も正確)
- デジタル体温計を用意する(水銀は使用しない)
- 先端に少量のワセリン等を塗る
- 赤ちゃんを仰向けまたはうつ伏せで安定させる
- 約1.25cmを目安にやさしく挿入(無理に押し込まない)
- 測定完了音まで保持する(30〜60秒目安)
- ゆっくり抜いて表示を確認する
- 使用後は石けんと温水で洗浄・乾燥する
わき測定(腋窩)
- 上半身の服を緩め、わき中央に先端を当てる
- 腕を体に密着させて固定する
- 動かないようにして完了音を待つ
- 表示を確認する
額測定(側頭動脈)
- 額の汗や水分を拭き取る
- 額中央にセンサーを当てる
- 機種の説明に従ってこめかみ方向へ移動させる
- 完了音後に数値を確認する
耳測定
- 耳垢が多くないか確認する
- 耳介を軽く後方へ引き、耳道をまっすぐに近づける
- プローブをやさしく挿入して固定する
- 完了音後に表示を確認する
平熱の目安
測定部位によって平熱レンジは少しずつ異なります。
- 肛門:36.6〜38.0°C(基準として最も信頼)
- 口腔:35.5〜37.5°C
- わき:34.7〜37.3°C
- 額:35.8〜38.0°C(機種差が大きい)
- 耳:36.4〜37.6°C
生後3か月未満では、肛門温38.0°C以上は発熱として扱い、早めの受診判断が必要です。 生後3か月以降は、一般に38.3°C前後以上で発熱として評価しますが、 ぐったりしている・哺乳不良など全身状態も必ず合わせて確認しましょう。
受診すべきタイミング
生後0〜3か月
- 肛門温38.0°C以上
- 36.0°C未満(低体温)
- この月齢の発熱は早急な診察が必要です
生後3〜6か月
- 38.3°C以上(特に症状がある場合)
- 24時間以上続く発熱
- 哺乳不良、発疹、強い不機嫌、反応低下を伴う
生後6か月以降〜幼児
- 39.4°C以上
- 3日以上続く発熱
- 呼吸苦、項部硬直、ぐったり、発疹などを伴う
より正確に測るコツ
- 活動直後は避ける:入浴後・授乳直後・激しく泣いた直後は15〜20分待つ。
- 室温を整える:極端な暑さ寒さは特に額式で誤差の原因になります。
- 同じ機器で比較:機種差を避けるため、経過観察は同じ体温計を使う。
- 動きを抑える:測定中の体動は誤差の原因。声かけや抱っこで安心させる。
- 再測定:数値に違和感があれば数分後に同じ方法で再確認。
- 衛生管理:使用前後の清拭・洗浄で感染リスクを下げる。
まとめ
体温測定は、赤ちゃんの体調変化を早く捉えるための基本スキルです。 とくに新生児期は、デジタル体温計での肛門測定が最も信頼できます。 成長に合わせて方法を使い分けながら、数値だけでなく機嫌・哺乳・呼吸の様子も合わせて判断しましょう。 判断に迷ったら、小児科へ相談するのがいちばん確実です。