赤ちゃんの脱水症状と対処法
赤ちゃんは体の水分比率が高く(体重の約70〜80%)、一方で自分で水分補給ができず体温調節も未熟です。 夏の暑さ・発熱・下痢・嘔吐などで急速に脱水が進むことがあります。 初期サインを早期に見つけて、適切に対応することが大切です。
脱水重症度別症状表
| 症状 | 軽度(体重の3〜5%減) | 中等度(5〜10%減) | 重度(10%以上減) |
|---|---|---|---|
| 意識・活気 | やや不機嫌 | ぐずり・無気力 | ぐったり・意識低下 |
| おしっこ | やや減少 | 6〜8時間なし・濃い黄色 | 12時間以上なし |
| 涙 | 通常通り | 少ない | なし |
| 口・舌 | やや乾燥 | 乾燥・粘つく | 著しく乾燥 |
| 大泉門 | 平ら | わずかにへこむ | 著明にへこむ |
| 皮膚 | 正常 | 弾力低下 | 著明な弾力低下 |
| 対処 | 在宅での水分補給 | 受診推奨 | 即受診・点滴が必要 |
自己チェック法(5つのサイン)
① おむつチェック
直近6〜8時間でおむつが乾いているか確認。通常、新生児は1日8〜12回以上排尿します。 濃い黄色・オレンジ色の尿も水分不足のサインです。
② 口・舌の乾燥
指で赤ちゃんの口の中に触れてみてください。唾液で湿っていれば正常。 べたつく・乾燥している場合は脱水の可能性があります。
③ 涙の確認
泣いているのに涙が出ない場合は中等度以上の脱水のサインです。 新生児(生後2〜3週間未満)はもともと涙腺が未発達なため、このサインは生後1か月以降に有効です。
④ 大泉門のへこみ
頭のてっぺんのやわらかい部分(大泉門)を確認。 安静時にへこんでいる(陥凹している)場合は脱水のサインです。 泣いている時は膨隆することがありますが、それは正常です。
⑤ 皮膚ツルゴール(ツルゴールテスト)
お腹の皮膚を軽くつまんで離す。2秒以内に元に戻れば正常、戻りが遅い場合は脱水が疑われます。 ただし、栄養不良の赤ちゃんは偽陽性になることがあります。
月齢別水分補給法
生後0〜6か月(母乳・ミルクのみ)
- 母乳・ミルク以外の水分は原則不要(母乳・ミルク自体が90%水分)
- 発熱・下痢・嘔吐時は授乳回数を増やして対応
- 母乳育児の場合、授乳拒否が続くようなら受診の目安
- 日本小児科学会は生後6か月未満への水・ジュース追加は推奨しない
生後6〜12か月(離乳食開始後)
- 離乳食と一緒に水・湯冷まし・麦茶(無糖)を少量ずつ提供
- 1回の食事で10〜30ml程度から始める
- 果汁は糖分が多く下痢の原因になるため、脱水補給には使わない
- 経口補水液は下痢・嘔吐・発熱時に医師の指示に従って使用
1歳以降
- 1日の水分目安:体重1kgあたり約100ml(食事からの水分含む)
- 牛乳は1日400〜500mlまで。それ以上は鉄分吸収を妨げる
- スポーツドリンクは日常の水分補給には不向き(糖分・塩分バランスが脱水補正に不適切)
与えてはいけない飲み物
- 市販スポーツドリンク(ポカリスエット・アクエリアスなど):糖分過多、ナトリウム不足で脱水補正に不適切
- 炭酸飲料・コーラ:カフェイン・糖分・炭酸が胃腸に負担
- フルーツジュース・果汁:糖分が多く浸透圧性下痢を悪化させる可能性
- お茶(緑茶・紅茶):カフェインが利尿作用を持ち、脱水を悪化させる
- 蜂蜜入り飲料:1歳未満はボツリヌス症のリスク
- 牛乳(脱水補正として):消化に負担。脱水急性期の補水には不向き
年齢別1日の水分目安量
| 月齢・年齢 | 1日の総水分量(目安) | 補給源 |
|---|---|---|
| 0〜6か月 | 700〜800ml | 母乳・ミルクのみ |
| 6〜12か月 | 800〜1,000ml | 母乳・ミルク+離乳食+水 |
| 1〜3歳 | 1,000〜1,300ml | 食事+水・麦茶・牛乳 |
※夏場・発熱時・活動量が多い日は上記の1.2〜1.5倍を目安に増量してください。
病院に行くサイン
- 12時間以上おしっこが出ない
- ぐったりして呼びかけへの反応が薄い
- 泣いても涙が出ない
- 大泉門が著明にへこんでいる
- 口内が著しく乾燥・粘つく
- 嘔吐・下痢が1日5回以上で止まらない
- 生後3か月未満で発熱を伴う
- 軽度脱水の自宅補水で改善しない(2〜4時間試みて改善なし)
よくある質問(FAQ)
Q. スポーツドリンクを赤ちゃんに与えてもいいですか?
市販のスポーツドリンク(ポカリスエット・アクエリアスなど)は糖分が多く、ナトリウム濃度が経口補水液より低いため、 赤ちゃんの脱水補正には適していません。 乳幼児の脱水には医師監修の経口補水液(OS-1など)を使用してください。薄めたスポーツドリンクも不適切です。
Q. 脱水かどうか自宅で判断できますか?
皮膚をつまんで2秒以内に戻れば水分は十分(ツルゴール正常)。戻りが遅い場合は脱水の疑いがあります。 おむつが6時間以上乾いている・涙が出ない・口の中が乾燥している・大泉門がへこんでいる、 のうち複数当てはまる場合は中等度以上の脱水の可能性があり、受診を推奨します。