赤ちゃんの手足口病 完全ガイド
手足口病は毎年夏に流行する子どもの感染症です。 2026年は例年より早い時期から流行が確認されており、保育所・幼稚園でのクラスター発生も報告されています。 正しい知識で早期対応し、重症化を防ぎましょう。
手足口病とは
手足口病(HFMD:Hand, Foot and Mouth Disease)は、主に5歳以下の乳幼児に多く見られるウイルス性感染症です。 手のひら・足の裏・口の中に特徴的な水疱・発疹が現れることから、この名前がつきました。 多くの場合は自然治癒しますが、一部のウイルス型では重症化することがあります。
原因ウイルス
主な原因ウイルスは以下の2種類です。感染するウイルスの型によって症状の重さが異なります。
| ウイルス | 特徴 | 重症化リスク |
|---|---|---|
| コクサッキーウイルスA16 | 最も一般的。比較的軽症が多い | 低い |
| エンテロウイルス71(EV71) | 脳炎・無菌性髄膜炎を起こすことがある | やや高い |
感染経路
- 飛沫感染:くしゃみ・咳による飛沫を吸入
- 接触感染:患者の水疱液・便に触れた手で口・鼻を触る
- 糞口感染:おむつ交換後の不十分な手洗いなど
注意:回復後も数週間〜数か月、便中にウイルスが排出されます。回復後も手洗いを継続してください。
症状の進行(3段階)
第1段階(潜伏期・感染後3〜5日)
- 症状なし(この段階でも感染させる可能性あり)
- 発症2〜3日前から感染力が最も高い
第2段階(急性期・発症後1〜3日)
- 発熱:38〜39℃(2〜3日間)
- 口内炎:舌・歯茎・頬の内側に水疱→潰瘍化、強い痛み
- 手のひら・足の裏の発疹:赤い水疱(痒みは少ない)
- おしりの発疹:おむつかぶれに似た発疹が出ることもある
- 食欲不振・不機嫌・流涎(よだれ増加)
第3段階(回復期・発症後4〜7日)
- 発熱が治まり、水疱が乾燥・かさぶたになる
- 口内炎の痛みが軽減し、食欲が戻る
- 発症から2〜4週間後に爪が剥がれる「爪甲脱落」が起こることがある(一時的で無害)
登園基準
日本の学校保健安全法では手足口病は出席停止疾患に指定されていませんが、以下の基準が一般的に用いられています。
- 発熱がなく、全身状態が良好であること
- 口内炎の痛みが軽減し、飲食が通常通りできること
- 水疱が乾燥・かさぶた状態になっていること(ただし潰瘍はまだ感染性を持つ場合がある)
各保育園・幼稚園によって基準が異なる場合があります。必ず園に確認してください。
家庭でのケア
口内炎の痛みを和らげる
- 冷たい(常温〜冷蔵程度)飲み物や食べ物で痛みを緩和
- ゼリー・プリン・アイスクリーム・冷やしたお粥などやわらかいものを
- 酸味・塩分・辛みの強いものは避ける(レモン・みかん・トマトも注意)
- ストローを使うと口内炎に直接触れずに飲める場合がある
発熱への対処
- 38.5℃以上でつらそうな場合はアセトアミノフェン系解熱薬(体重別用量で)
- アスピリンは絶対に使用しない(ライ症候群の危険)
- 薄着にして室温を26〜27℃に保つ
水分補給
- 母乳・ミルクは継続。拒否する場合でも少量ずつこまめに試みる
- 生後6か月以上は経口補水液(OS-1など)も有効
- おしっこの回数・色で脱水を判断(薄黄色が正常)
皮膚ケア
- 水疱は自然に乾燥するため、破かない・潰さない
- おしりの発疹はおむつかぶれと同様にケア(清潔・乾燥・亜鉛化軟膏)
- 入浴は可能。体をやさしく洗い、清潔を保つ
緊急サイン
以下の症状は重篤な合併症のサイン。すぐに救急受診してください
- 高熱(39.5℃以上)が3日以上続く
- ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い
- けいれん・意識消失
- 呼吸が速い・苦しそう・胸がへこむ
- 首が硬い(項部硬直)
- 12時間以上水分が摂れない
- 眼球が動かない・視点が合わない
- 手足が震える・ふらつき
予防・衛生管理
- 手洗い:帰宅後・食前・おむつ交換後に石けんで20秒以上洗う
- タオルの共用禁止:家族間でもタオル・コップを分ける
- 次亜塩素酸ナトリウム消毒:おもちゃ・床は0.05%溶液で拭き取る
- おむつ処理:便が付いたおむつは二重袋で密封廃棄
- 保育施設への報告:感染がわかったら速やかに連絡を
よくある質問(FAQ)
Q. 手足口病はいつから保育園に行けますか?
日本の感染症法では手足口病は出席停止疾患に指定されていませんが、発熱や口内炎で飲食困難な間は自宅保育が推奨されます。 全身状態が改善し、水疱が乾燥・かさぶたになっていれば登園可能とする園が多いです。 必ず園の方針を確認してください。
Q. 手足口病のワクチンはありますか?
日本では現在、手足口病の予防ワクチンは承認されていません。 中国ではEV71に対するワクチンが承認されていますが、日本では未使用です。 予防は手洗い・うがい・タオルの共用禁止などの衛生管理が基本です。
Q. 口内炎で飲み物を飲みたがらない場合はどうすればいいですか?
冷たい飲み物(常温〜冷蔵)は口内炎の痛みを和らげます。 ストローやスポイト型容器を使うと痛みが少ない場合があります。 酸味・塩味・辛みのあるものは避け、冷やしたゼリー・プリン・アイスなど飲み込みやすいものを与えてください。 12時間以上水分が摂れない場合は受診してください。